音も発てず 砂が零れ落ちてゆく様に
光がこの手から零れ落ちて逃げて行く
触れたものを感じようとこの両手を広げたが
全てはあまりにも大きすぎた やがて何も残らない
闇に蠢くこの身を呪い続け 天を見上げたが
この眼は焼き焦がされただけだった
何ひとつ赦されない 何もありはしない
全ては零れてゆく 私自身も
やがて私は空洞と化してゆく
私は消え行く 何もない無の世界へと
私は消え去る 何ものも引き留められはしない
私を救ったおまえという天使も私には触れず
疎外という名のベールを残し 私の元から消え去り行く
望みではなく 私が確実に感じる喪失の怖れ
揺るぎなき絶望は確実に成り立っていった
私はそれを見せつけられる
私は消え行く 何もない無の世界へと
私は消え去る 時は近付きゆく
逃れ様もない確かさに縛られながら眼を閉じる事も出来ず
もがく程にこの鎖はきつく食い込んで行く もはや動く事すら出来ない
残されるのが嫌だと云ったおまえの眼を憶えている
なのにおまえは此処に私を置いて行くのか? 置いて行くのか・・・
もはやおまえの顔すら違う人物にしか見えない
おまえが判らない・・・おまえは誰だ?
私は嘯くであろう 誤魔化しであったと
やがてまた私はあそこに戻り行く
しかし、この代償のなんと大きな事か・・・
私は何も受け取れはしない 何ひとつとして
虚ろな私が此処にいる 全ては消え去ったのだ
この内部にすでに魂はありはしない
もう生きてはいない 私はいない
無を願う 消失を求める
私が行く場所へと 行くべき所へと
私は消え行く
私は終わる・・・