THE LAST SONG


音も発てず 砂が零れ落ちてゆく様に

光がこの手から零れ落ちて逃げて行く

触れたものを感じようとこの両手を広げたが

全てはあまりにも大きすぎた やがて何も残らない


闇に蠢くこの身を呪い続け 天を見上げたが

この眼は焼き焦がされただけだった

何ひとつ赦されない 何もありはしない

全ては零れてゆく 私自身も

やがて私は空洞と化してゆく


私は消え行く 何もない無の世界へと

私は消え去る 何ものも引き留められはしない


私を救ったおまえという天使も私には触れず

疎外という名のベールを残し 私の元から消え去り行く

望みではなく 私が確実に感じる喪失の怖れ

揺るぎなき絶望は確実に成り立っていった

私はそれを見せつけられる


私は消え行く 何もない無の世界へと

私は消え去る 時は近付きゆく


逃れ様もない確かさに縛られながら眼を閉じる事も出来ず

もがく程にこの鎖はきつく食い込んで行く もはや動く事すら出来ない

残されるのが嫌だと云ったおまえの眼を憶えている

なのにおまえは此処に私を置いて行くのか? 置いて行くのか・・・

もはやおまえの顔すら違う人物にしか見えない

おまえが判らない・・・おまえは誰だ?

私は嘯くであろう 誤魔化しであったと

やがてまた私はあそこに戻り行く

しかし、この代償のなんと大きな事か・・・


私は何も受け取れはしない 何ひとつとして

虚ろな私が此処にいる 全ては消え去ったのだ

この内部にすでに魂はありはしない

もう生きてはいない 私はいない

無を願う 消失を求める

私が行く場所へと 行くべき所へと

私は消え行く

   は終わる・・・


summer 1997               



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